ゲーミングPCのブランドを独断と偏見で仕分けする

ゲーミングPCを買おうとすると、まず値段の桁を見て一回黙る。次に、型番に並ぶアルファベットと数字を見てもう一回黙る。RTXのあとの四桁が何を意味しているのか、ちゃんと説明できる人は思っているより少ないと思う。

買い方にも性格が出るんだよね。サイトを開いて「これください」と完成品を指さす人もいれば、メモリの銘柄まで一個ずつ選んで、注文を確定する前に三日くらい寝かせる人もいる。

そこで、横を「お手ごろか、高めか」、縦を「完成品を買うか、パーツを選ぶか」にして、12のブランドを勝手に並べてみた。

グラボやメモリの選び方はここでは書かない。そっちは別のページでゼロから調べた。ここで並べるのは、あくまでブランドのイメージ。

勝手に地図

どのブランドにも十数万円のモデルから何十万円のモデルまであるので、一つの点に置くのはかなり乱暴です。名前を聞いたときに浮かぶ一台と、注文画面やお店の雰囲気で決めました。性能や値段をきちんと比べた地図ではありません。

ドスパラ GALLERIA

ひとことで:ゲーミングPCを調べ始めた人が、最後に戻ってくる場所。

こんな人に合いそう:調べるのに疲れて、「みんな買ってるやつ」で手を打ちたい人。

秋葉原を歩いていて、ドスパラの看板を一度も見ずに帰るのはなかなか難しい。

GALLERIAは、比較サイトを二十個くらい回った人が、結局戻ってくる場所という印象がある。配信者とのコラボモデルも多くて、好きな配信者の名前がついているだけで、スペック表を読む前にカートに入っている人もいると思う。

友だちの家に遊びに行ったら、自分と同じケースが机の下で光っていた。そういう気まずくてちょっとうれしい再会が、たぶん全国で毎日起きている。もう個性というより、制服。

マウスコンピューター G-Tune

ひとことで:ゲーミングPCの中で、いちばんお茶の間に近い名前。

こんな人に合いそう:家族に「それ何のパソコン」と聞かれたとき、一言で済ませたい人。

マウスコンピューターは、テレビCMで名前を知った人も多いと思う。ゲーミングPCに興味がない家族にも「あのCMの会社」で話が通じるのは、交渉の場面でかなり強い。

G-Tuneのほかに、NEXTGEARという手ごろなシリーズもある。最初はNEXTGEARで入って、次の買い替えでG-Tuneに上がる人もいそう。ゲーミングPCにも出世魚がいる。

地図では完成品を買う側に置いた。悩む時間を減らしたい人が、いちばん安心して指をさせる場所な気がする。指をさしたあと、色だけ三十分悩むのは別の話。

パソコン工房 LEVEL∞

ひとことで:近所のパソコン屋さんの、名前だけ壮大なゲーミングPC。

こんな人に合いそう:実物を見て、困ったらお店に持ち込める安心がほしい人。

LEVEL∞と書いて、レベルインフィニティ。初めて見た人の半分くらいは、心の中で「レベルむげんだい」と読んでいると思う。

パソコン工房は街なかにお店があって、秋葉原まで行かなくても実物を見られる。休日に地元のお店でケースの横をのぞきこんでいる人、たぶんまだ買う気はない。でも帰り道には、頭の中でメモリの容量を一段上げている。

値段はお手ごろな側に置いた。名前は無限なのに、財布への要求はわりと有限。

フロンティア

ひとことで:セールのページを毎週開いている人のブランド。

こんな人に合いそう:スペックより「今週いくら下がったか」で決めたい人。

フロンティアは、とにかくセールの印象が強い。欲しいモデルのページを毎週開いて、下がっていたら買う、上がっていたら閉じる。その繰り返し。

選ぶというより、待つブランドなんだよね。地図ではいちばんお手ごろで、完成品を買う側に置いた。パーツを悩む時間を、全部セール待ちに使っているとも言える。

待っているあいだに新しいグラフィックボードが発表されて、振り出しに戻る。これを二周くらいした人は、もう待つこと自体が趣味になっている。

ツクモ G-GEAR

ひとことで:自作の匂いがする、秋葉原の古株のゲーミングPC。

こんな人に合いそう:「自作もできるけど、今回はやめとく」と一言添えたい人。

ツクモは、秋葉原のパソコン屋さんの中でも古株という印象。お店に入るとパーツの箱が高いところまで積まれていて、完成品を見に来たはずなのに、なぜか自作パーツの棚の前で足が止まる。

G-GEARを選ぶ人は、だいたい「自作もできるけど」と前置きする。できるけど、今回は時間を買った。そう言っていたのに、届いた翌週にはケースを開けてメモリを足している。前置きは、たぶん自分への言い訳。

サイコム

ひとことで:注文画面で、ほぼ全部のパーツを選べるBTO。

こんな人に合いそう:ケースのファンの銘柄まで、自分で決めないと落ち着かない人。

地図のいちばん上にいるのがサイコム。注文画面の選択肢がとにかく細かくて、マザーボードからケースのファンまで、自分で決められるところがやたら多い印象がある。

サイコムで買う人は、カートに入れてから確定ボタンを押すまでが長い。ブラウザのタブが二十個くらい開いていて、半分はパーツのレビュー。もう半分は、同じパーツの別のレビュー。

静かなPCにこだわる人が多いイメージで、ゲームの音より先に、PCの音が聞こえないことを喜んでいる。ゲームをするための機械なのか、静けさを買う機械なのか、途中から本人もたぶん曖昧。

ストーム

ひとことで:ケースの見た目で選ぶ、知る人ぞ知るBTO。

こんな人に合いそう:中身と同じくらい、机のまわりの景色にこだわりたい人。

名前を出すと、知っている人は「ああ、ストームね」と少しうれしそうな顔をする。知らない人は、天気の話だと思う。

ケースの見た目に凝っている印象があって、ガラス越しに中が見えるタイプを選んで、部屋の電気を消して眺めている人がいそう。ゲームを始める前に、まず眺める時間がある。

ゲームのほうは三十分で切り上げて、眺めるほうは一時間。そういう夜も、たぶん悪くない。

MSI

ひとことで:パーツ売り場でおなじみの竜が、PCまるごとになったもの。

こんな人に合いそう:デスクトップからノートまで、同じマークでそろえたい人。

台湾のメーカー。マザーボードやグラフィックボードの箱で、竜のマークを見たことがある人は多いと思う。

自作をする人にとっては部品の会社という印象が先にあるので、MSIの完成品を買うと、なんだか部品売り場をまるごと持ち帰ったような気分になる。地図でパーツを選ぶ側に置いたのも、その印象のせい。

ノートPCの天板にも竜がいて、カフェで開くとちょっと強そうに見える。打っているのが仕事の謝罪メールでも、竜は竜。

ASUS ROG

ひとことで:「ゲーマーの共和国」を名乗る、肩書きの強いブランド。

こんな人に合いそう:パーツからスマホまで、一つの名前でそろえる覚悟がある人。

ROGは、Republic of Gamersの略。共和国。パソコンのブランドで、国家を名乗ってくる。

ASUSは台湾のメーカーで、ROGはそのゲーミングブランド。マザーボードもグラフィックボードもノートPCも、スマホまでROGがある。全部ROGでそろえた人の部屋は、たぶんもう共和国の領土になっている。

地図では、高めでパーツを選ぶ側に置いた。入国審査は、たぶん財布で行われる。

Lenovo Legion

ひとことで:仕事のパソコンの会社が、本気で遊びに来たブランド。

こんな人に合いそう:昼も夜も、同じ会社に任せて気にならない人。

Lenovoと聞くと、会社で配られるThinkPadを思い浮かべる人が多い気がする。そのLenovoのゲーミングブランドがLegion。直訳すると軍団。

昼はThinkPadで会議の資料を作って、夜はLegionで敵を倒す。一日中同じ会社の製品に囲まれていることに、本人はたぶん気づいていない。気づいたところで、たぶん困らない。

HP OMEN

ひとことで:プリンターでおなじみの会社の、意外と尖った一面。

こんな人に合いそう:家電量販店で実物を見て、そのまま決めたい人。

HPと聞いて最初に浮かぶのは、たぶんプリンター。インクを買いに行った家電量販店で、ゲーミングPCのコーナーにも同じロゴを見つけて、二度見した人もいると思う。

OMENは英語で「前兆」という意味。ゲーミングPCに、いいのか悪いのか読めない名前をつけてくる。真面目な会社が、たまに見せる遊び心という感じがして好き。

黒いボディを家のプリンターの横に置くと、急に家電の中で反抗期が始まったように見える。

Alienware

ひとことで:エイリアンの頭が光る、ゲーミングPCの絵に描いたような姿。

こんな人に合いそう:ゲーミングPCを持っていることを、見た目で一発で伝えたい人。

Dellのゲーミングブランドで、ロゴはエイリアンの頭。電源を入れると、そのエイリアンが光る。

ゲーミングPCに詳しくない人に「ゲーミングPCってどんなの」と聞かれたら、なんとなくAlienwareの形を思い浮かべる人は多いと思う。宇宙船みたいな曲線で、部屋の隅に置いても隅に収まってくれない。

中身を細かく選ぶより、完成した姿ごと買うブランドという印象なので、地図ではいちばん右下に置いた。中身の話をする前に、だいたい見た目の話で会話が終わる。持ち主も、それで満足している。

まとめ

並べてみると、ゲーミングPCはゲームをする機械というより、どこまで自分で決めたいかの性格診断に近い気がしてきた。セールのページを毎週開く人と、ファンの銘柄で三日悩む人は、同じゲームを遊んでいても、たぶん話がかみ合わない。

ただ、どのブランドを選んだ人も、届いた日は箱を開ける前に部屋の掃除を始める。机の上を片づけて、ケーブルをまとめて、気づいたら夜。ゲームは明日からになる。

※この記事は個人の独断と偏見です